【初心者向け】単焦点レンズとズームレンズの違いとは?失敗しないレンズ選びガイド

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「単焦点って、ボケがすごいって聞くけど本当?」「ズームレンズって便利だけど、写真のクオリティは下がるの?」そんな疑問を持っているカメラ初心者さんへ。

この記事では、単焦点レンズとズームレンズの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。自分にぴったりな1本を見つけて、もっと楽しいカメラライフを始めましょう

目次

単焦点レンズとは? その魅力とメリット

単焦点レンズとは、その名の通り、焦点距離が一つに固定されたレンズです。例えば35mm、50mm、85mmといった特定の画角しか持っていません。

ズーム機能がない代わりに、その特定の焦点距離において最高の光学性能を発揮できるよう、設計が最適化されています。この「一点集中」の設計思想こそが、単焦点レンズならではの魅力の特徴です。

メリット1 卓越した高画質と明るさ

単焦点レンズが多くのフォトグラファーから支持される最大の理由は、その卓越した画質にあります。

ズームレンズに比べてレンズ構成枚数が少なく、構造がシンプルなため、光がレンズ内を通過する際の劣化が最小限に抑えられます。これにより、画像の隅々までシャープで歪みが少なく、被写体のディテールを鮮明に描写することができるというわけです。

色収差などの光学的な欠点も効果的に補正されているモデルが多く、クリアで抜けの良い、立体感のある写真を生み出せるのが特徴です。

さらに、単焦点レンズの多くはF値(絞り値)がF1.8やF1.4、中にはF1.2といった非常に小さい「明るいレンズ」であることも大きな特徴です。

レンズが明るいということは、より多くの光をカメラのセンサーに届けられるということになります。これにより、薄暗い室内や夜景など、光量が少ない状況でもISO感度を低く抑えたまま撮影でき、ノイズの少ない美しい写真を撮ることが可能です。

F値1.4 シャッタースピード1/50秒 ISO125

また、同じ明るさの場所なら、より速いシャッタースピードを選ぶことができるため、動きのある被写体(例えば、走り回る子供やペット)の瞬間をブレなく捉えたり、手持ち撮影での手ブレを効果的に防いだりすることにも繋がります

メリット2 とろけるような美しいボケ味

多くのフォトグラファーが単焦点レンズに惹かれる理由の一つが、明るい単焦点レンズは、背景を大きく、そして美しくぼかす表現、いわゆる「ボケ味」を最大限に活かせるという点です。

F値を小さく設定(絞りを開ける)することで、ピントを合わせた被写界深度(ピントが合って見える範囲)が非常に浅くなります。これにより、ピント面は驚くほどシャープでありながら、背景はとろけるように柔らかくぼけ、被写体が背景から浮き上がるような立体的な表現が可能になります。

この効果は、人物の表情を際立たせたいポートレート撮影はもちろん、花や料理、小物などを印象的に見せたい場合にも絶大な効果を発揮します。レンズによっては、絞り羽根の枚数や形状によって、点光源が美しい円形や多角形になる「玉ボケ」の質にもこだわりが見られ、写真表現の幅を広げてくれます。

F値1.4にて撮影。紫陽花以外は大きくボケて、木漏れ日が玉ボケになっています。

メリット3 軽快なコンパクトさと比較的手頃な価格

ズーム機構を持たないシンプルな構造は、レンズ自体の小型化・軽量化にも貢献します。特に標準域の単焦点レンズは手のひらに収まるようなコンパクトなモデルも多く、カメラに取り付けても全体の重量が抑えられ、長時間の撮影や持ち歩きの負担が軽減されます。

旅行や日常のスナップ撮影など、機動性を重視したい場面では大きなアドバンテージとなるでしょう。

パンケーキレンズと呼ばれるXF27mm F2.8 R WR 重さはわずか84g

価格面でも、単焦点レンズには魅力があります。もちろん、プロ向けの高性能なレンズは高価ですが、特に「撒き餌レンズ」とも呼ばれる50mm F1.8などの標準単焦点レンズは、非常に手頃な価格でありながら、キットレンズなどとは一線を画す高画質と明るさ、そして美しいボケ味を手軽に体験できます。初めての交換レンズとして、あるいは単焦点レンズの入門として、コストパフォーマンスに優れた選択肢と言えるでしょう。

私はFUJIFILMのカメラをメインに使用していますが、Canonの撒き餌レンズは有名ですね。RF50mm F1.8 STMと言うレンズなんですが、フルサイズ対応のF値1.8にもかかわらず価格ドットコム最安値で3万円を切っています(2025年4月現在)。驚異的です…。

FUJIFILMもXC35mmF2と言うレンズがありますが、F値は2ですし、何よりAPS-C用ですからね。ぜひもっと頑張ってほしいと思います。

単焦点レンズの注意点 デメリットを知る

多くのメリットを持つ単焦点レンズですが、その特性ゆえのデメリットも存在します。これらを理解しておくことが、後悔しないレンズ選びに繋がります。

デメリット ズームができない不便さと構図の制約

単焦点レンズの最も本質的なデメリットは、焦点距離が固定されているため、ズームができないことです。

写したい範囲(画角)を変えるためには、撮影者自身が前後に移動する、いわゆる「足ズーム」をするか、あるいは別の焦点距離のレンズに交換する必要があります。被写体との距離が頻繁に変わる運動会や、立ち位置が制限される発表会、近づけない野生動物の撮影などでは、この制約が大きな不便となる場合があります。

特にカメラを始めたばかりの頃は、この『ズームができない』という点に戸惑いや不便さを感じるかもしれません。しかし、この制約こそが、構図を深く考え、被写体との距離感を意識する訓練になり、写真上達への近道となることもあります

また、物理的に移動できない場所(例えば、崖の上から風景を撮る、フェンス越しにスポーツを観戦するなど)では、そのレンズが持つ画角でしか構図を決められません。「もう少し広く写したい」「もう少し被写体に寄りたい」と思っても、レンズの画角がそれを許さないのです。

様々な画角で撮影を楽しみたい場合、必然的に複数の単焦点レンズを持ち運ぶ必要が出てきますが、これは荷物の増加に繋がり、レンズ交換の手間や、交換時にセンサーにホコリが付着するリスクも伴います。シャッターチャンスを優先したい場面では、レンズ交換の時間が致命的になる可能性も考慮すべきでしょう。

ズームレンズとは? 便利な機能とメリット

一方、ズームレンズは、一本のレンズで焦点距離を連続的に変化させることができるレンズです。レンズ鏡筒にあるズームリングを回転させるだけで、広角から望遠まで、写る範囲を自由自在に調整できます。例えば、18-55mm、24-70mm、70-200mmのように、対応する焦点距離の範囲が表記されています。

メリット1 圧倒的な利便性と汎用性 これ一本で何役も

ズームレンズ最大の魅力は、何と言ってもその圧倒的な利便性と汎用性の高さです。レンズ交換という煩わしさから解放され、一本のレンズで広角、標準、望遠といった複数の役割をこなせます。

例えば、旅行先で広大な風景をダイナミックに捉えたいと思った次の瞬間、遠くにいる人物の表情をアップで撮りたいと思っても、ズームリングを回すだけで対応できます。刻々と状況が変わるイベント撮影や、動きの予測が難しい子供やペットの撮影、あるいは限られた時間で多様な写真を撮りたい場合など、ズームレンズの「一本で何でも撮れる」という柔軟性は、シャッターチャンスを逃さないための強力な武器となります。

荷物を極力減らしたい登山や旅行においても、その恩恵は計り知れません。『あのレンズを持ってくればよかった…』と後悔する心配が減り、目の前の光景に集中できる安心感も、ズームレンズがもたらす大きなメリットと言えるでしょう。

焦点距離21.3mmにて撮影。

メリット2 構図の自由度とフレーミングの容易さ

ズームレンズは、撮影者がその場から一歩も動くことなく、画角を微調整して最適な構図を探求できるというメリットも持っています。被写体に対して近づいたり離れたりすることなく、ズーム操作だけで背景の整理や被写体の大きさの調整が可能です。「あと少しだけ広く」「もう少しだけ寄って」といった微妙なフレーミングの調整が瞬時に行えるため、より意図に沿った構図を作りやすくなります

特に望遠側を使えば、遠くの被写体を簡単に見つけ出し、引き寄せてフレーミングすることが可能です。これは、スポーツ観戦や野鳥撮影など、被写体に物理的に近づけない状況で特に有効です。

動物園のアシカも、まるですぐ近くに居るかのように撮影できます。

ズームレンズの注意点 デメリットを知る

もちろん、これほど便利なズームレンズですが、その万能性にはいくつかのトレードオフ、つまり考慮すべきデメリットも存在します。

デメリット 画質と明るさの限界 単焦点には及ばない場合も

一般的に、ズームレンズは単焦点レンズと比較すると、光学的な性能、特に画質(シャープネス、解像感、歪みの少なさなど)や明るさ(F値の小ささ)の点で譲る部分があります。これは、複数の焦点距離で一定の性能を維持するために、多くのレンズ群を複雑に組み合わせ、それらを動かす機構が必要となるため、光学設計上の制約が大きくなるからです。

特に、安価なキットレンズや、広範囲の焦点距離を一本でカバーする高倍率ズームレンズでは、画像の周辺部での画質低下や歪みが目立ったり、開放F値が暗め(F3.5-5.6など、ズーム位置によってF値が変わる可変絞りが多い)であったりする傾向があります。

もちろん、近年は技術の進歩により、プロ向けの高級ズームレンズ(いわゆるF2.8通しの大三元ズームなど)では、単焦点レンズに迫る、あるいは特定の状況下では凌駕するほどの高い描写性能を持つものも存在します。しかし、それらは例外なく高価であり、サイズや重量も相応に大きくなります。また、原理的には、特定の焦点距離に最適化された単焦点レンズの方が、より高いレベルでの画質や明るさを追求しやすいと言えます。

デメリット 大きさと重量、そして価格

ズームレンズは、その複雑な構造ゆえに、同程度の画角を持つ単焦点レンズと比較して、大きく、重くなる傾向があります。特に、広いズーム域を持つレンズや、明るい開放F値を維持する高性能なズームレンズ(F2.8通しなど)は、かなりの大きさ・重さとなり、カメラに装着した際のバランスや、持ち運びの負担が大きくなることがあります。一日中首から下げて歩くような場合には、その重さが疲労に繋がることも少なくありません。

価格に関しても、高性能なズームレンズは、一般的な単焦点レンズよりも高価になることがほとんどです。いわゆる大三元と呼ばれるような大口径ズームレンズは、数十万円クラスになることも珍しくありません。利便性と性能を両立するには、それなりの投資が必要となる場合が多いのです。

FUJIFILMの望遠大三元ズームレンズ 重量は約1kg 値段も20万円ほどです。

あなたに合うのはどっち? レンズ選びで重要なこと

さて、単焦点レンズとズームレンズ、それぞれの特徴を見てきましたが、結局どちらを選ぶべきなのでしょうか? 答えは一つではありません。最も重要なのは、「あなたが何を撮りたいのか」「どのような撮影スタイルを好むのか」「予算はどのくらいか」といった、あなた自身のニーズと優先順位を明確にすることです。

「作品」としての画質や美しいボケ味、明るさを重視して、特定の被写体(ポートレート、テーブルフォト、星空など)をじっくりと、最高のクオリティで撮りたいんだけど。

単焦点レンズがおすすめです!確かなあなたの期待に応えてくれる可能性が高いでしょう。ただし、多少の不便さも、表現のためなら厭わないという覚悟も必要かもしれません。

あまりレンズ交換しないで、一本のレンズで様々なシーン(旅行、イベント、日常のスナップ、家族写真など)に柔軟に対応できると楽だなぁ。それと荷物も軽くしたいし、シャッターチャンスも逃したくないんだよね。

ちょっとずぼら?なあなたにはズームレンズがおすすめです!まずは汎用性の高い標準域のズームから始めて、必要に応じて望遠ズームや広角ズームを検討するのも良いでしょう。

ただし、カメラを始めたばかりで撮りたいものが決まっていないという方もいるでしょう。その場合、「まずはキットレンズの標準ズームレンズから初めて自分の撮りたいものが決まってきてからレンズを増やしてみましょう。」という意見が一般的かもしれませんが、私はそうは思いません

なぜなら、キットレンズの標準ズームレンズの場合、スマホで撮る写真とそんなに印象が変わらないことが多いからです。そうなってしまうと、わざわざカメラを持ち出して写真を撮ろうと思わなくなってしまい、次第にタンスの肥やしになってしまうのがオチです。

なので私は

  1. キットレンズの望遠ズームレンズ
  2. 撒き餌の単焦点レンズ

の2パターンをお勧めしたいと思います。なぜならどちらもスマホでは撮れない写真を撮ることができるからです。

キットレンズの望遠ズームレンズは明らかに肉眼とは異なる世界を見ることができますし、必要な部分だけを切り取ることができるので写真に無駄な要素が入りにくくなって写真のクオリティが上がります

撒き餌の単焦点レンズの場合は、撒き餌とはいえF値は2以下になるのがほとんどです。F値が2以下だと明らかにスマホよりも大きくボケます。ボケがあると単純にクオリティが上がった感じがして撮影するのが楽しくなるはずです

カメラ初心者の方は、まずカメラで撮るとこんなに違うんだということを実感してほしいと思います。そうすることで写真を撮ることが楽しくなってどんどん撮影していくうちに自分が撮りたいものが定まってくるはずです。そうなってからより高価なレンズを購入していっても遅くはありません。

とはいえキットレンズの望遠ズームレンズでも、撒き餌の単焦点レンズでも数万円はするので2つとも買うのはそれなりに大変です。

その2つでも迷った場合は、レンズレンタルサービスを利用して、実際にいくつかのレンズを試してみるのもおすすめな方法です。カタログスペックだけでは分からない、実際の使い勝手や描写の違いを体感することができます。

単焦点レンズとズームレンズは、どちらが優れているというものではなく、それぞれに得意な分野と不得意な分野があります。それぞれのメリット・デメリットを深く理解し、あなたの写真表現の目的や撮影スタイルに最も合ったレンズを選ぶこと。それが、あなたの写真ライフをより豊かで、創造的なものにするための鍵となるはずです。

ぜひ、自分にとって最適な一本を見つけて、素晴らしい写真体験を楽しんでください。

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