FUJIFILMの「REALA ACE」、使ってみたいけれどどんな設定にすれば自分好みの色になるのか分からない——そんな声をよく聞きます。スタンダードで万能なフィルムシミュレーションだからこそ、ちょっとした設定の振り方でしっとりにも透明感にも、暖色にも寒色にも化けてくれるんですよね。
この記事では、私が普段X-H2で愛用しているREALA ACEのカスタムレシピを5つ、作例たっぷりで紹介します。紫陽花をしっとり鮮やかに撮る設定から、春の花を透明感たっぷりに写すもの、料理をおいしそうに、そして暖色・寒色でガラッと印象を変えるレシピまで、シーン別にそのまま真似できる設定値を全部まとめました。作例はすべてX-H2で撮っていますが、同じ値でX-T5・X100VI等にも対応しています。
「とりあえずこの設定で撮れば失敗しない」という基準を、この記事で持ち帰ってもらえたら嬉しいです。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
REALA ACEとは
REALA ACEは、2023年9月にGFX100Ⅱで初登場し、2024年6月のファームウェアアップデートでX-H2などのXシリーズにも搭載されたフィルムシミュレーションです。世界初の「第4の感色層技術」を導入したネガフィルム「REALA ACE」がベースになっています。
特徴は、なんといっても色を忠実に、でも気持ちよく再現してくれること。彩度は落ち着いており、見た目に近い自然な発色をしてくれます。スタンダードな色味なので被写体を選ばず、普段使いにぴったり。私も「今日は何で撮ろう」と迷ったら、とりあえずREALA ACEを選ぶことが多いです。
一方で、REALA ACEはシャドウが柔らかくハイライトが固めの傾向があり、少し白飛びしやすいのがクセ。だからこそ、トーンや露出補正をマイナス寄りに振ってあげると、グッと使いやすくなります。このあたりのコツは、各レシピと最後の「共通のポイント」で具体的に触れていきます。
もっと深くREALA ACE(リアラエース)の成り立ちや色作りの背景まで知りたい方は、こちらの書籍がじっくり読めておすすめです。
ちなみに、これらのレシピはすべて私の愛機X-H2で撮っています。実機の使い心地はこちらに詳しくまとめています。

REALA ACE カスタムレシピ一覧
今回紹介する5つのレシピは、それぞれ得意なシーンが違います。まずは一覧でざっと方向性をつかんでください。気になるレシピから読み飛ばしてもらってOKです。
| レシピ | 方向性 | 得意なシーン |
|---|---|---|
| 1 紫陽花をしっとり鮮やかに | カラークローム強・しっとり鮮やか | 紫陽花・暗めに沈める色の花 |
| 2 春の花を透明感たっぷりに | カラークロームOFF・あっさり軽やか | 梅・桜・明るいハイキーの花 |
| 3 料理をおいしそうに | WBホワイト優先・忠実な色 | 料理・カフェ・テーブルフォト |
| 4 暖色でやわらかく撮る | WBを赤寄り・優しい雰囲気 | 暖色の花・下町・あたたかい街 |
| 5 寒色でスッキリ撮る | WBを青寄り・クールな印象 | 都市・商店街・涼しげな被写体 |
どのレシピもベースはREALA ACE。カラークローム・エフェクト、ホワイトバランス、露出補正の振り方で表情を変えているのがポイントです。とくにレシピ4とレシピ5は、ホワイトバランスを暖色・寒色に振り分けた”対”の関係。同じ花でも印象がガラッと変わるので、後半でぜひ見比べてみてください。X-H2・X-T5・X100VIなど、REALA ACE搭載機ならそのまま使えます。
レシピ1|紫陽花をしっとり鮮やかに
最初に紹介するのは、私がREALA ACEで一番よく使う「紫陽花をしっとり鮮やかに」レシピです。カラークローム・エフェクトを強めにかけて青や紫に深みを出しつつ、トーンと露出をマイナスに振ることで、少し暗めに沈めて、それでいて色はしっかり残す仕上がりにしています。紫陽花のように、明るく撮ると色が抜けてしまいがちな花にぴったりの本命設定です。
設定値
- フィルムシミュレーション:REALA ACE
- グレインエフェクト:OFF
- カラークローム・エフェクト:強
- カラークローム ブルー:弱
- スムーススキン・エフェクト:OFF
- ホワイトバランス:AUTO(R:0 B:0)
- DR:AUTO
- Dレンジ優先:OFF
- トーンカーブ:H-2.0 S±0
- カラー:+1
- シャープネス:+1
- 高感度ノイズ低減:0
- 明瞭度:0
- 露出補正:-0.6
ポイントはカラークローム・エフェクトを「強」にすること。これで紫陽花の青や紫にグッと深みが出ます。REALA ACEはハイライトが固めなので、トーンカーブをH-2.0にしてハイライトを粘らせ、露出補正も-0.6に下げて白飛びを防いでいます。あえて少し暗めに撮るのが、しっとり鮮やかに見せるコツなんですよね。カラーは+1で、盛りすぎないくらいがちょうどいいです。
作例写真
SIGMA 56mm F1.4で撮った紫陽花の作例です。青や紫の深い発色と、暗めに沈めたしっとり感に注目してみてください。





紫陽花の青や紫の深い色が、明るく撮ったときのように白っぽく抜けず、しっとり残っているのがこのレシピの持ち味です。露出を少し落とすだけで、こんなに印象が変わるんですよね。色が淡くなりがちな花を、記憶の中の鮮やかさのまま残したいときにぜひ試してみてください。
なお、このレシピの作例はすべてSIGMA 56mm F1.4で撮っています。中望遠の単焦点ならではの、背景がとろけるようなボケと色のりの良さが紫陽花とよく合うんですよね。
この紫陽花撮影とレシピの詳しい話は、こちらの記事でもっと掘り下げて紹介しています。

レシピ2|春の花を透明感たっぷりに
2つ目は、レシピ1とは正反対の方向性。「春の花を透明感たっぷりに」レシピです。カラークローム系をすべてOFFにして、さらにカラーを-2まで下げることで、あっさりと軽やかな発色に。梅や桜のような春の花を、明るく透明感のある雰囲気で撮りたいときの定番設定です。
設定値
- フィルムシミュレーション:REALA ACE
- グレインエフェクト:OFF
- カラークローム・エフェクト:OFF
- カラークローム ブルー:OFF
- スムーススキン・エフェクト:OFF(人物を撮るときは弱や強)
- ホワイトバランス:AUTO(R:0 B:0)
- DR:AUTO
- Dレンジ優先:OFF
- トーンカーブ:H-2.0 S±0
- カラー:-2
- シャープネス:+1
- 高感度ノイズ低減:0
- 明瞭度:0
- 露出補正:±0〜+1(花を撮影する場合はさらに上げてもOK)
このレシピのキモはカラークローム系を全部OFFにして、カラーを-2まで下げること。色の主張を抑えると、ふわっと軽やかで透明感のある写りになるんです。さらに露出補正を+側に振ってあげると、ハイキー気味の明るい春らしい雰囲気に。花を撮るときは思い切って露出を上げてみてください。レシピ1が「色を残して沈める」なら、こちらは「色を抜いて明るく飛ばす」イメージですね。
作例写真
佐藤農場の梅園で撮った作例です。白梅・ピンク梅の透明感のある軽やかな発色に注目してみてください。



梅や桜のような淡い色の春の花は、このあっさり設定がよく似合います。色を盛らないぶん、花そのものの繊細な階調と空気感が前に出てくるんですよね。レシピ1の紫陽花とは真逆のアプローチなので、被写体や撮りたい雰囲気で使い分けてみてください。
ちなみに、このレシピは花だけでなく街スナップにも合います。アクセントとして、青空に映えるガラスのビルを1枚。透明感系の設定は、こういうクリアな都市の風景ともよく馴染みます。

もうひとつ、アクセントに。透明感のある光は、こんなふうに街角の建物を撮るときにも気持ちよく抜けてくれます。

この梅園の撮影については、こちらの記事でもっとたくさんの作例を紹介しています。

レシピ3|料理をおいしそうに
3つ目は、外食やカフェで活躍する「料理をおいしそうに」レシピです。料理写真でいちばん大事なのは、食材の色を見た目どおりに写すこと。そこでホワイトバランスを「AUTOホワイト優先」にして、お店の照明に左右されず色を忠実に再現します。そのうえでカラーを+2まで上げ、食材をぐっとおいしそうに見せるのがポイントです。
設定値
- フィルムシミュレーション:REALA ACE
- グレインエフェクト:OFF
- カラークローム・エフェクト:強
- カラークローム ブルー:弱
- スムーススキン・エフェクト:弱
- ホワイトバランス:AUTOホワイト優先(R:0 B:0)
- DR:AUTO
- Dレンジ優先:OFF
- トーンカーブ:H-1.0 S±0
- カラー:+2
- シャープネス:0
- 高感度ノイズ低減:-4
- 明瞭度:0
- 露出補正:±0〜+1
このレシピの肝は、なんといってもホワイトバランスを「AUTOホワイト優先」にすること。お店のオレンジっぽい照明の下でも色かぶりを抑えて、料理本来の色を忠実に出してくれます。そこにカラー+2で食材の彩りをプラスして、おいしそうな見た目に。さらに高感度ノイズ低減を-4にすることで、肉や料理の質感・ディテールを残しています。薄暗い店内でも露出補正を少し上げれば、明るく食欲をそそる一枚になります。
作例写真
カフェのスイーツから鉄板焼き、ラーメンまで。料理の色と質感がどう写るか、見ていってください。





焼けた肉のこんがりした色や脂の照り、ラーメンの澄んだスープまで、見た目どおりに気持ちよく写ってくれます。「AUTOホワイト優先」のおかげで、店内の照明に色を持っていかれないのが大きいですね。外食の記録から、ちょっとしたグルメ投稿まで、これ1つで料理写真がぐっとおいしそうになりますよ。
レシピ4|暖色でやわらかく撮る
ここからの2つは、ホワイトバランスで色温度をガラッと変える”対”のレシピです。まずレシピ4は暖色寄り。ホワイトバランスを赤+3・青-2に振って、写真全体をあたたかく、やわらかい雰囲気に仕上げます。優しい空気感を出したいときの一枚です。
まずはこの花を見てください。日差しを浴びたピンクのツツジです。あとでレシピ5に出てくる白いツツジと、ぜひ見比べてみてくださいね。

設定値
- フィルムシミュレーション:REALA ACE
- グレインエフェクト:弱・小
- カラークローム・エフェクト:強
- カラークローム ブルー:弱
- スムーススキン・エフェクト:弱
- ホワイトバランス:AUTO(R:+3 B:-2)
- DR:400%
- Dレンジ優先:OFF
- トーンカーブ:H-1.0 S+1
- カラー:+2
- シャープネス:-2
- 高感度ノイズ低減:-4
- 明瞭度:0
- 露出補正:+1/3
このレシピの主役はホワイトバランスのR:+3 B:-2。赤を足して青を引くことで、夕方のような、ほんのり暖かい色合いになります。さらにシャープネスを-2まで落とし、グレインを弱くのせることで、カリッとしすぎないやわらかい質感に。フィルムっぽい優しさが出ます。トーンカーブH-1.0でハイライトを少し粘らせつつ、露出補正は+1/3で明るく。下町の路地や、あたたかみのある街並みにぴったりのレシピです。
作例写真
提灯の灯る下町から、新緑の大通りまで。暖色に寄せると、街がこんなにあたたかく写ります。



赤提灯や路地の風景が、ノスタルジックであたたかい雰囲気に包まれます。昼間の新緑の通りでも、ほんのり暖色に転ぶことで、やわらかく親しみのある印象に。「なんだか落ち着くな」と感じる写真にしたいときは、このレシピがよく効きます。
レシピ5|寒色でスッキリ撮る
最後のレシピ5は、レシピ4とちょうど対になる寒色レシピです。ホワイトバランスを赤-2・青+2に振って、写真全体をクールにスッキリと。レシピ4が「あたたかくやわらかい」なら、こちらは「涼しげでシャープ」。同じ街でも、ガラッと違う表情になります。
まずはこの白いツツジを。レシピ4の冒頭で見た「ピンクのツツジ」と、ほぼ同じ撮り方なのに、ホワイトバランスを寒色に振るだけで、こんなに涼しげな印象になります。同じ花でも、暖色か寒色かで印象がガラッと変わる——これがレシピ4と5を”対”で覚えてほしい理由なんですよね。

設定値
- フィルムシミュレーション:REALA ACE
- グレインエフェクト:弱・小
- カラークローム・エフェクト:強
- カラークローム ブルー:強
- スムーススキン・エフェクト:弱
- ホワイトバランス:AUTO(R:-2 B:+2)
- DR:400%
- Dレンジ優先:OFF
- トーンカーブ:H-1.0 S-2
- カラー:+2
- シャープネス:-2
- 高感度ノイズ低減:-4
- 明瞭度:0
- 露出補正:±0
ポイントはホワイトバランスをR:-2 B:+2と、レシピ4の真逆に振ること。青を足して赤を引くことで、ひんやりとクールな色味になります。さらにカラークローム ブルーを「強」にして青の締まりを出し、トーンカーブS-2でコントラストを少し落としてスッキリと。シャープネス-2のやわらかさは残しつつ、全体は涼しげに整えています。商店街やビル街など、無機質でクールな被写体と相性抜群です。
作例写真
市場のアーケードからビル街まで。寒色に振ると、街がこんなにスッキリとクールに写ります。




同じ街並みでも、寒色に振るだけで静かでスッキリした、都会的な印象になります。レシピ4の暖色作例と見比べると、ホワイトバランスの威力がよく分かるはずです。あたたかく撮るか、クールに撮るか。その日の気分や被写体に合わせて、レシピ4と5を使い分けてみてください。
他のフィルムシミュレーションとの使い分け
ここまで5つのレシピを紹介してきましたが、「結局REALA ACEはどんなときに選べばいいの?」と気になる方もいると思います。私の感覚では、見た目に近い自然な色で、でも気持ちよく残したいときがREALA ACEの出番です。クセが少なくスタンダードなので、被写体を選ばず安心して使えるのが最大の強みなんですよね。
一方で、もっと「フィルムらしい味」や「エモい色」が欲しいなら、クラシックネガのような個性派のほうが向いています。私はクラシックネガも大好きで、こちらは別記事でレシピをまとめています。REALA ACEと撮り比べると、それぞれの良さがよく分かりますよ。

REALA ACEやクラシックネガ以外にも、FUJIFILMにはたくさんのフィルムシミュレーションがあります。全12種のカスタムレシピを一気にまとめた看板記事も用意しているので、いろいろ試してみたい方はこちらからどうぞ。

なお、これらのレシピはX-H2・X-T5・X100VIなど、REALA ACE搭載機ならどれでも同じ値で使えます。「X-H2とX-T5、どっちを買うべき?」と機種選びで迷っている方は、同じセンサーなのに選ぶ人が違う理由をこちらで詳しく解説しているので参考にしてみてください。

共通のポイント(白飛び・露出補正・ホワイトバランス)
最後に、5つのレシピすべてに通じるREALA ACEを使いこなすコツを3つだけまとめておきます。ここを押さえておくと、どんなシーンでも安定して気持ちのいい色が出せますよ。
① 白飛びに注意する。 REALA ACEはハイライトが固めで、明るい部分が飛びやすいのがクセです。トーンカーブのハイライトをマイナス(H-1.0〜H-2.0)に振ると、白い花や空の階調が粘ってくれます。これは全レシピで共通の効きどころです。
② 露出補正は気持ちマイナスから。 白飛びを防ぐなら、まず露出補正をマイナス寄り(-0.6前後)から入るのが安全です。逆に、透明感を出したい花のシーンだけは+側に振ると軽やかに。撮りたい雰囲気で上下に振り分けてください。
③ ホワイトバランスで印象を作る。 レシピ4・5で見たとおり、ホワイトバランスのR・Bを±2〜3いじるだけで、暖色にも寒色にも転びます。色味そのものを自分好みにデザインできるのがREALA ACEの楽しいところ。迷ったらAUTOのR:0 B:0を基準に、少しずつ振ってみてください。
ちなみに、これらの作例はすべて私のX-H2で撮っています。高解像で階調も粘ってくれるので、REALA ACEのしっとりした色作りととても相性がいいんですよね。
まとめ
FUJIFILMのREALA ACEで愛用しているカスタムレシピを5つ、紹介してきました。最後にもう一度おさらいしておきましょう。
- レシピ1|紫陽花をしっとり鮮やかに……カラークローム強+露出-0.6で、色を残して暗めに沈める
- レシピ2|春の花を透明感たっぷりに……カラークロームOFF+カラー-2で、あっさり軽やかに
- レシピ3|料理をおいしそうに……WBホワイト優先+カラー+2で、食材を忠実かつ美味しそうに
- レシピ4|暖色でやわらかく撮る……WBを赤+3・青-2で、あたたかく優しい雰囲気に
- レシピ5|寒色でスッキリ撮る……WBを赤-2・青+2で、クールでスッキリした印象に
同じREALA ACEでも、設定の振り方ひとつでこんなに表情が変わります。まずは気になったレシピをひとつ、お手持ちのX-H2・X-T5・X100VIに登録して撮ってみてください。きっと「これ、自分の好きな色かも」という1つが見つかるはずです。
そして、お気に入りの色で撮れた写真は、ぜひフォトブックやプリントで形に残すのがおすすめです。私は撮りためた作例をしまうまプリントでまとめているのですが、安いのに発色がよくて、REALA ACEのしっとりした色がそのまま紙に乗ってくれるんですよね。画面で眺めるのとはまた違う良さがあります。
「まずは1枚だけ試してみたい」という方は、写真プリントから気軽にどうぞ。
それでは、あなたなりのREALA ACEの色を、ぜひ見つけてみてくださいね。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


